春分(しゅんぶん) 六甲山自然歳時記(第24回:最終回)

3月20日から4月3日まで、二十四節気では「春分(しゅんぶん)」です。
春分の日は太陽が真東から昇り真西に沈み、「昼と夜の長さが同じになる」といわれていますが、実際は昼の方が、約14分長いとのことです。
昔、極楽浄土は西の彼方(かなた)にあると信じられていたため、太陽が真西に沈むこの時期に、先祖の霊(れい)を供養する墓参りなどの行事が行われるようになったそうです。

昨年の4月の「清明」から、半月ごとに季節の話題を掲載してきましたが、今回の「春分」で一巡し、これで終了いたします。

3月20日(日)午前10時、六甲山自然保護センターの気温は5.5度で、薄日がさしていますがひんやりしています。
ガイドハウス前の植栽に、カンアオイの仲間のヒメカンアオイが健気(けなげ)に咲いています。寒い季節に花を咲かせるので珍しく注目していました。

冬にもけなげに咲くヒメカンアオイ

このカンアオイは冬の間、太陽の光を必死に受け、その可憐な姿は、春の到来を待たずにはいられない様子でした。
花の大きさは1㎝ほどで、花は葉っぱに囲まれて地べたに密着するように咲いて、徐々に赤褐色になってきました。
葉は緑色のハート型で、雲紋が特徴です。
カンアオイの名前の由来は、冬でも葉が枯れず、その形が葵(あおい)に似ているからです。

この季節、六甲山でお気に入りの生き物は、イカル(スズメ目、アトリ科)です。
イカルはヒヨドリくらいの大きさのずんぐりした形で、くちばしは太く黄色でよく目立ちます。
全体に灰色で、頭、翼、尾は黒く、飛ぶときは波状飛行で、翼の白斑が目立ちます。

黒い頭に黄色の嘴のイカル(gosuke さん撮影)

六甲山系には留鳥として生息し、高木の枝に営巣します。
オス・メスのペアで生活し群れで行動して、雑木林などでヌルデやエノキ、カエデなどの種子を食べます。
さえずりは、「キィーコーキー」と明るく鳴きます。                        

(みみより話) 香りで春を知らせる花 ヒサカキ
春陽がまぶしい季節を迎えるとなぜか気持ちまで明るくなります。
山野を歩いていると風にのって、やや青臭い香り(都市ガスのにおい?)がして、元をたどれば白い小花を咲かせているヒサカキに出合います。
毎年この香りがしてくると春本番になったと感じています。

ヒサカキの花のにおいは?

樹木の多くは、種類によって生育する環境が決まっていて、明るい所や暗い所、乾燥や湿り気のある所を選んで生え成長します。
ところがヒサカキは、生育環境のすき好みはあまりなくどんな所にも生えています。                               
これは、ヒサカキの果実は、メジロ・ウグイス・ジョウビタキなどの鳥が好んで食べ、種子を糞(ふん)としてあちこちにまき散らします。
散布された種子は、環境条件を選ばず発芽生育するので、どこへ行ってもヒサカキがあります。
どんな場所でも生きていける順応力をもったヒサカキは、人間に何か教えているように感じます。   

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